政策

金融政策の正常化

日銀が7月31日の金融政策決定会合で追加利上げと国債買い入れ額の減額の計画を決定しましたが、18年前の量的緩和解除後最初の利上げを思い出しました。
当時も予め設定していた解除の条件が満たされたことを確認してまず2006年3月に金融政策の操作目標を日銀当座預金残高から無担保コール翌日物金利に戻し、当座預金残高を所要準備額まで緩やかに減らした上で7月に利上げしました。
違っているのは当時は欧米も連続的利上げ局面にあったのに対し、今回は欧米は逆に利下げ局面ということで、そのような中で金融引き締め方向の政策決定ができたということが当時短期間所属させていただいた者として感慨深いものがあります。引き続きブレることなく合理的な政策運営を期待します。

金融市場調節方針の変更および長期国債買入れの減額計画の決定について

超富裕層課税の国際協力

7月25日・26日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議で超富裕層課税の国際協力についても合意されました。30年程前から有害な税の競争(Harmful Tax Competition)に共同で対処するという動きはありましたが、難易度としては一般に消費課税が低く、所得課税は高いとされていますので、今回の合意も画期的と言えます。それだけ所得格差が看過できない水準と認識されているということだと思われます。
我が国ではかつては活力を削がないために累進度を下げる等富裕層に有利な税制改正が行われていましたが、民主党政権の時に見直しが始まり、最近でも超富裕層の最低税率の導入が行われたところです。
第3回G20財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)

少子化対策の実効性の条件

子育ては20年前後続くので、少子化対策も同様に長期間続くことへの信頼がないと子供を持つ意思決定はしにくいです。

少子化対策が相当程度拡充されていますが、重要な条件が充足されていないようにも見えます。
子育ては20年前後続くものなので、少子化対策の様々な施策の効果で子供を持とうと意思決定をするためにはそれらの施策が同様に長期間続くということへの信頼が必要です。
この点、我が国は民主党政権の主要施策であった子ども手当を野党だった自公がバラマキとして攻撃し、党派間の対立軸となってしまったため、少子化対策も聖域ではなくその時々の政権によって変わり得るものと認識されているように思います。
そのような状況で施策に実効性を持たせるためには全額先払いするなど政府側のコミットメントを確保する何らかの方策が必要です。
もちろん超党派で少子化対策は聖域として必ず守るという合意がなされればそれでもよいかもしれません。