10数年前大使館勤務時に大使公邸のワインが枯渇しつつあると聞きました。かつては報償費でその年にできたワインを購入して10年、20年後に飲み頃になるということが可能だったのが、スキャンダルで報償費はなくなり、通常の予算でその年に使うワインを購入することになり、その年に飲めるワインは当然高いので多くは購入できないからという説明でした。これは政府に対する信頼がないために税金を効率的に使えなくなった例です。
マクロ的な問題では給付に見合った負担の可否の問題もあります。政府に対する信頼がないと負担増が受け入れられず、いつか調整すべき負債が膨張します。もちろん負担増による調整はできないのでインフレによる調整になりがちです。これも相当の痛みを伴うのは最近物価高対策が重要施策になっていることからも分かります。
少し違う角度では少子化対策の給付もあります。政府に対する信頼がないと子どもが独立するまでの間給付が続かないかもしれないと考えて子どもを持つ意思決定ができなくなる惧れがあり、それを防ぐには子どもが生まれたら全期間分を前払いするしかなく非効率になります。
以上のように政府に対する信頼がないと非効率になりますが、信頼を回復するには一つ一つの施策を着実に実行していくしかありません。