経済

103万円の壁を引き上げることの問題点

国民民主党は壁を178万円に上げることを主張しており、そうすれば確かに103万円の「壁」はなくなります。それはそれで目的を達成するのに適した手段と言えますが、目的達成以外の効果が大き過ぎます。すなわち基礎控除等の合計額を引き上げるということは、103万円の「壁」に直面していない所得が大きい納税者にも広く効果が及ぶということです。
この点について、高額納税者の方が減税額が大きくなるので金持ち優遇であるとの批判が有力になっていますが、国民民主党の玉木代表が反論しているように累進課税制度により元々納めるべき税金が多いから減税額も大きくなるだけであり、この点については玉木代表の主張が正しいと考えます。
本当に問題なのは、目的達成のために必要な範囲を大きく超えて財政構造を崩すような一般的大減税になってしまうことであり、その点にフォーカスした議論が望まれます。

語学の習得における読みの重要性

語学の習得について従来から日本人は読めるが話せないので会話の練習が必要と言われることが多いのですが、結論から述べると読みが足らないから聞くのも書くのも話すのもなかなか上達しないのではないかと思います。
まず会話が成り立つためには相手の発言が聞き取れることが必要ですが、ここで読めるのに聞き取れない場合の多くは読むスピードが聞くスピードに追い付いていないと思われます。聞くスピード以上のスピードで読めるようになって初めて聞き取れるので、対策としては読む練習を沢山するということになります。
次に書くと話すについてもシンプルですが、表現のストックがないとアウトプットはできません。これも対策としては幅広い分野の文章を読むということになると思います。
上記は母国語を考えてみればある意味当然のことで、文部科学省の調査によれば小学校だけでも教科書のページ数は9,000近いとのことで、他にも読んでいるとすれば、外国語を学ぶ際にも少なくとも1,000ページの単位で読む必要があるのではないでしょうか。

サステナビリティ経営のための政策対応

サステナビリティ経営は従来のCSRと異なり経済価値、社会価値及び環境価値を同期させるものとされています。言い換えると、サステナビリティ経営をする方が稼ぐ力も大きくなるような状態を目指すものとされています。そのために開示を通じた投資家や一般社会からのプレッシャーも活用して企業のサステナビリティ経営の水準を高める方針が示されています。
もっとも、政府等により様々なガイダンスや好事例が示されたとしても、それらを導入して稼ぐ力にポジティブな影響を持つに至るまでには相当のコスト負担に耐える必要がある場合も多いと思われます。また、理念先行で演繹的にメニューを作ると経済合理性やビジネス合理性とはかけ離れたものになるリスクもあります。
やはり常に各メニューの影響を検証し、望ましくないものは廃止することとし、また、外部不経済があるものについては課税等によって内部化する等の経済学的対応を行うことにより、全体としてできるだけ合理的な取り組みとなるようにする必要があると考えます。

国債は負担先送りではないとの主張の検証

国債は負担先送りではないとか日銀と連結すれば相殺されるという議論は見る範囲を狭め負担を見えないようにしています。
国債は資産でもあるので将来世代は負債と共に資産も承継するので負担はないとの主張については、国債が資産であるためには償還される必要があり、その財源はそれがなければ不要であった追加の増税により賄う必要があることからやはり将来世代の負担となります。そしてその国債で調達した資金は現役世代のために使ってしまっているので将来世代の負担で現役世代の出費を賄う構造になっています。